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沖縄県八重山地方のよもやま


by yaimauta
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工工四の使い方

工工四の使い方_c0007973_1450389.jpgこんなタイトルを付けると、また、お叱りを受けてしまいそうですが、特に県外で民謡を学ぶ者にとっては、一番悩ましいテーマのひとつだと思いますので、御容赦いただけますよう御願いいたします。

僕が、八重山の古典民謡を学び始めた頃には、よく「それは工工四と違ってる。」とか「何で工工四と同じに唄わないのか?」という指摘を受けました。今から思えば、恥ずかしながらかなり好きなように唄っていたのも事実ですが、「工工四を教科書として扱っていた」、ということなのだと思います。

ですから、昨年の古典民謡コンクールで審査委員長の講評を読んだ時、変化を感じました。「(主に県外からの受験者に対して)工工四に頼るのではなく、師匠の元に通い、唄の心を学ぶように努力されたい。」この方の師匠は、唄と工工四の同一性を重要視された工工四を作成された方で、これは大きな変化だと受け止めました。

実際に、その工工四は僕が知っているだけでも、3つの異なるヴァージョンが存在します。師匠が持っているものと、僕が持っているものと、後輩が持っているものでは、同じ曲でも内容が違っているわけです。実際にそれで練習が足踏みしてしまったこともありました。

しかし、僕は師匠から、「工工四を覚えるよりも僕の唄を感じて身体と心で覚えてください。」と教わってきました。そのおかげで、工工四上の多少の相違は気にならなくなっています。「工工四はあくまでも目安」ということが身についてきたからだと思います。迷った時には師匠の唄に帰ればいいのです。それでもわからなければ、おたずねしてみればいいと思います。

形が定まってしまった純粋な古典とは異なり、古典民謡は、歌い継がれてきた過程で、様々な変化を経て現在に至っているのだと感じます。そして、歌い継がれていく以上、また変化していく可能性があります。僕たちは、今と言う時にその現場に立ち会っているのだ、とそう思います。僕たちは、素晴らしいものを学んでいるのですね。
by yaimauta | 2006-02-17 22:50 | やいま唄